こんにちは、ねこすけです。

大型地震や集中豪雨、感染症被害が起きるたびに話題になる「BCP(Business Continuity Plan)」。

ネットを調べてみると、BCPの定義や重要性については情報がありますが、BCPコンサルの具体的な仕事内容の情報は少ないようです。

そこで、今回の記事では、

BCPコンサルの仕事内容

について、自分が関わった案件や周囲のコンサルタントの経験談をもとに、出来るだけ具体的にお話していきます。

BCPコンサルに興味のある方、自社でBCP作成を検討している方、図らずもBCPチームに配属されてしまった若手コンサルの方などのご参考になれば幸いです。

1. BCPは緊急時対応の総合ソリューション

今回はBCPコンサルの働き方がメインテーマなので、BCPそのものについては概要だけざっと説明しておきます。

「BCP(Business Continuity Plan)」は、日本語では「事業継続計画」とも呼ばれており、非常事態に社内外が効果的に連携対処することで、被害の最小化と早期復旧を図るプログラムです。

防災計画と混同されることも多いですが、防災計画が人命や資産の保護を目的とした計画であるのに対し、BCPは優先度の高い業務の特定と早期復旧に主眼を置いている点が特徴です。

具体的な成果物としては、下記が代表的なものとなります。

  • クライアント業務への災害インパクト分析
  • 優先業務、復旧許容時間の評価表
  • 初動対応計画
  • 初動対応後の復旧計画

上記のようなBCP文書を策定し、定期的な訓練を繰り返しておくことにより、非常事態でも、各部署が機動的に連携して、早期復旧に向けた行動がとれるようになります。(実際の現場では結構あたふたしますが・・・)

BCP案件を発注するのは、事業会社の総務部等が多いです。特に、エネルギーや電力などのインフラ系や、国内外に生産拠点を抱えるメーカーなどからの案件が多くなっています。

2. BCPコンサルの実際の仕事

2.1. 事業の全体像の把握

BCP案件を受注すると、まずはクライアントの窓口部署(事務局)から事業の全体像のレクチャーを受けます。BCP案件では、各現場の働き方について、言ってみれば「ケチをつける」場面が多くなるため、業務に対して正確に理解しておくことが不可欠です。業務をあまり理解せずに改善提案を行うと、現場から激しい反発を受けてしまいがちなので、非専門分野であっても、可能な限りしっかりと勉強しておきます

次に、非常事態対応に関連する社内諸規定や組織図を受領し、徹底的にこれを読み込みます。非常事態対応における各部署の動きをシミュレーションし、各文書の矛盾点や要改善点についてコンサルタントなりの意見を出来る限りまとめます。これにより、以降のディスカッションがより具体性を持ったものになります。

BCP策定方針について、事務局との間に一定の共通理解を築いたあとは、非常事態関連各部署の場所・メンバー構成・職掌に関する情報を受領し、実際に各部署からの聞き取りを進めていきます。

2.2. 各現場の課題意識の聞き取り

聞き取りは、可能な限り、現場で面と向かい合って行います。「外部専門家」は得てして警戒されるケースが多いので、出来る限りディープな情報を取得するためには、直接コミュニケーションで警戒心をほぐしていくことが有効です。

各部署のマネジャークラスを相手に最低30分程度の面談を行い、担当業務の詳細や、業務ごとの復旧優先度、緊急事態発生時の対応想定、BCPへの期待・要望、に関して記録していきます。情報を引き出すために、時には「うるさいよそ者」のロールもこなしながら、事務局と一体になって、聞き取りを進めていきます。

大組織を扱う案件の場合は、聞き取り作業が数日に及ぶこともザラにあります。

2.3. 緊急時対応の問題点の炙り出し

聞き取りの進捗状況は随時一覧表にアップデートを行い、部署間の認識の矛盾点等を発見した場合は、再度確認することで危機管理上の問題点を炙り出します。

聞き取り調査がひと段落したタイミングで、

  • 全業務の復旧優先度
  • 業務ごとの復旧タイミング
  • 対応人員
  • 初動フェーズ完了の判断基準

についてコンサルタントが資料化し、事務局や関連部署の確認を取りながらブラッシュアップします。

2.4. BCP文書の作成

以上の作業成果をもとに、1で先述した通り、アウトプットを作成していきます。

クライアント社内で、既存の危機対応マニュアル等が存在する場合は、社内規定との関係性に注意しながら、適宜改定を行い、新規のBCPに実効性を持たせます。

各資料は、ネット環境が失われた場合も想定して、紙媒体で各事業所が分かりやすい位置に保管しておくように指導します。

ここまでで、BCP案件はひと段落となります。

2.5. 定期的な訓練

事業の拡大や人員の入れ替えに伴い、BCPは都度修正を施していく必要が生じます。

そこで、定期的にBCPの重要関係者を集めて、対応計画のアップデートを行ったり、机上訓練を実施することがあります。コンサルタントは、事務局とともに、アップデート情報を取りまとめたり、机上訓練に立ち会って、各関係者への改善点レビューを行います

2.6. 緊急対応のアドバイザリー

案件終了後も、クライアントに不慮の事態が生じた際、対応方針のアドバイスを求められることがあります。時には、不祥事の発生をどのタイミングで公開すべきか、謝罪のメディアとタイミングはどうすべきか、といった点までアドバイスすることがあります。緊急時にクライアントの力となることで信頼を獲得すれば、別種のクライシスに係るBCP作成案件の引き合いを獲得できることもあります

ここまで、かなり丁寧に、BCP案件の具体的な業務内容を記してきましたが、一般的な戦略案件に比べて、課長以下の現場担当者の声を聞く機会が多く、泥臭い人間関係の調整に奔走することも多々あることがお分かりになると思います。

中期経営計画の策定など机上で未来を描く仕事もやりがいがありますが、たまにはBCP案件で現場を這いずり回るのも、事業会社各所のリアルな生態が感じられて楽しいものです。縦割り文化の企業の案件を扱う際などには、事務局から「○○さんは、社内の誰よりもウチの会社の力関係に詳しいよね!」と言ってもらえることもあります。

3. BCPコンサルの好不況

BCPの想定する非常事態は、大地震や感染症が主であり、東日本大震災のような大災害のあとには、一定期間、大企業の中でBCPを策定しようとする機運が高まります。(言い方は悪いですが、)大体7~8年に一度は、BCP需要を喚起するような大災害がある印象です。

ただ、BCPは、経済全体が停滞しているような時期には、大企業の外注費カットの対象となり、案件が急減してしまう傾向もあります

4. BCPコンサルの主なプレーヤー

専門コンサル、シンクタンク、総合系コンサル辺りがメインプレーヤーです。

専門コンサルは、案件単価が比較的安く、中小企業案件も手掛けているイメージです。代表企業としては、ニュートンコンサルティングなどが挙げられます。

シンクタンクと総合系コンサルは、案件単価が比較的高めで、基本的に上場企業の事業BCPや地域全体のBCP(≒DCP:District Continuity Plan)の策定を扱っています。代表企業は、野村総研、三菱総研、デロイトトーマツコンサルティングなどが挙げられます。

いかがでしたでしょうか?

BCPコンサルの仕事は、クライアントの業務に精通し、各現場の人間関係を考慮しながら、全部署横串しで、矛盾の無い緊急時計画を練り上げていく、極めて精緻で泥臭いものです。

一方で、BCPコンサルは、事業会社のビジネスがどのような人々の分業と協業で成り立っているかを、事業会社の社員以上に深く知るチャンスがあります。机上の空論に虚しさを感じる、現地調査の経験を積みたい、というような若手コンサルは、ぜひBCPの案件にトライしてみてください。